工房のパネルソーの前で作業中、思い出したことがありブログに残します。
私は末席ながら家具職人の一員としてお仕事をさせていただいていますが、家具のキャリアの中では訓練校卒業後、建具の工場にて3年間職人として、家具販売店にて10年程、直接お客様とお話する立場としてお仕事も経験していました。
その経験の中で「卓越した職人の話は一般的な言葉としての理解が難しい」
いいえ、いい子になりすぎました、、
ひらたく言うと「言っていることが分かりづらい」と思う場面が多々ありました。
例えば、、
バリバリの職人の親方とお話(お叱りを受け)ていると、
親方「AAAじゃアカンわ。普通、BBBやろ、だから、、、」
私「はい。はい。」(←基本、はい、以外に返事は許されない)
(1時間後)
親方「、、、なんやで、わかったか?FFFもアカンねん。AAAでいかなアカンわ。AAAでいけや」
私「はい。え???はい、わかりました。AAA???(首をかしげながら)」
というようなことも。
ここでの経験は、一周して真逆なこと言ってる!ということではなく、親方は、具体的なやり方として私に伝えているのではなくて、あくまで感覚として言わんとしていることを分かってくれ、という考え方のことらしく、言っていること自体は多少「ちぐはぐ」ではあるものの、こういうものなんだ、とその場は納得(?)はしました。のちに、これがとても大切な感覚のことを言っていた、となったりします。
一流の仕事のプロフェッショナルにこの傾向の人、ここでは乱暴に職人気質と囲ってしまいますが、このような人はいらっしゃいまして、販売のカリスマ店員でも、バーっといってシャーっとやって、、、などに代表されるような、感覚重視の言語化した説明にならないことも多くあり、理解に集中力を必要としますが大切な感覚を教えてくれます。
また、これは仕事のやり方、ルーティーンみたいなものにも存在します。
接客業でも職人の仕事でも、
なんでかわからないけど、いつもこの順番でやってる、ということが、経験に裏付けされた、俗にいう「勘」の部分であったりします。
もちろん、意味のない慣習、悪習であったりすることもあるので、そのあたりの見極めには注意が必要ですが、どちらでもいいけど、なんとなく、こうやってる、という場合、確かに前後の作業内容も含めて考えるととても効率的であったり、もしもの時のリスクヘッジだったりするので、実は超大事!なことがたくさん含まれています。
勘どころというものは近いレベルまで達しないと、理解が難しいものだな、と、
順序を言われていたのに忘れてカット、まんまと失敗して、パネルソーの前で呆然としながら、身にしみているのでした。。

パネルソーはこちら。